1. 冠詞


12の冠詞がある。必ず名詞の前に置かれ,名詞の格と意味を決定する。

1-1. 冠詞

名詞の語義はその定義主によってしばしば変化する。私の仮説では,あらゆる会話で4つのpidelaが独立した定義主として,同じ名詞に対して異なるものを思い描いている(pidelaはそれぞれGeneral場, Social場, Communicative場, Personal場と呼ぶ)。我々は知らず知らずの内に定義主として適切なpidelaを使い分けている。しかし,この言語を扱うためには,それを明示する必要がある。pidelaの的確でない指定は,会話を混乱させてしまうことになるだろう。

冠詞においては,子音がpidelaを,母音が格を表す。すなわち l, þ, ð, m はそれぞれSocial場,Communicative場,General場,Personal場を,a, i, o, ud, e はそれぞれ主格(S格),属性格(A格),対象格(O格),所有格(P格),呼格(V格)を表している。

1-1-1. «la, li, lo, lud, le» 社会冠詞

「Social場」とは,社会によって定められたpidelaのこと。このpidelaにおける単語の意味は社会区画内で定義され共有されていて,ある不特定の何かについて言い表す。

例) lo gömi 「(ある)食べ物」

1-1-2. «þa, þi, þo, þud, þe» 集団冠詞

「Communicative場」とは,社会の一部の要素によって構成されたpidelaである。このpidelaにおける単語の意味は集団内で定義され共有されていて,特定の何かについて言い表す。

例) þo gömi 「(その;例の)食べ物」

1-1-3. «ða, ði, ðo, ðud, ðe» 世界冠詞

「General場」とは,世界の全ての存在を含むpidelaである。 存在が実際に存在しているかどうかに関わらず,全てのものがこれに属する。そしてこのpidelaが定義する単語の意味は全てのものに対して一意である。つまり,単語の言い表す対象はふつう個に限定されず,対象となるもの全てとなるということだ。

例) ðo gömi 「食べ物(というものすべて)」

1-1-4. «ma, mi, mo, mud, me» 個人冠詞

「Personal場」とは,たったひとつの個だけのためのpidelaである。よってこのpidelaが定義する単語の意味は話者のみが理解できて, 他の存在が理解できるかどうかは重要ではない。

例) mo gömi 「(私にとっての)食べ物」

1-2. 冠詞早見表

以上をまとめたのが下の表である。なお便宜により,pidelaは規模の小さい高位なものから順に並べている。

pidela S格 A格 O格 P格 V格
個人 ma mi mo mud me
集団 þa þi þo þud þe
社会 la li lo lud le
世界 ða ði ðo ðud ðe

S格,A格,O格の機能については3章で解説する。
P格は後置修飾的で,その名詞内容にあたるpidelaが,直前の名詞句にあたるものを所有していることを表す。P格によって修飾される名詞がゼロ語幹であるとき,そのゼロ語幹名詞は省略してよい。
V格は,その名詞内容に対する呼びかけや,体言止めなどの動詞を伴わない文をつくるときに用いる。

例) þe dilosi þud SIA: 「スィアの家。」
  i ha þi þud nuþumi hud þoli: 「彼はそれを彼の友人のものにしようとしている。」
  (þi i þud nuþumi hud の i が省略されている。)




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